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パク・チャヌク 映画監督
(『JSA』『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』『お嬢さん』) -
この映画は記憶に関する映画でもある。一人の人が持ちつづけた記憶も、持ちきれずにあふれた記憶も歴史になる。歴史は一杯の巨大な器に入ったスープなのかもしれない。
一人ひとりがその中に溶けているのか、一人ひとりの中にその器があるのか。
どちらであるにせよ、このスープを大切に飲んで、飲んだことを記憶しよう。斎藤真理子 翻訳家
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オモニ(母)のレシピ通りにつくったあのスープの中には、どんな言葉でも語り尽くせないすべてが込められている。
ヤン・イクチュン 俳優・映画監督
(監督・出演『息もできない』、出演『かぞくのくに』『あゝ、荒野』、Netflixドラマ「地獄が呼んでいる」など) -
若い日のオモニの話は衝撃でした。 ヤンさんの苦しい涙を見ているうちに、私は「かぞくのくに」の撮影中、日ごとに泣き虫になっていった姿を思い出していました。
涙はヤンさんをより強くする。
その涙の後にどんな作品が生まれるのか、心の中で応援しながら待つことにします。
「家族の笑顔を見たい」。その一心で料理を作り続ける母たちの願いが叶えられる世界でありますように…。
宮崎美子俳優
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オモニは少しずつ、「忘れて」いく。押し込めてきたあまりに凄惨な記憶を、誰かと分かち、託していくほどに。
「もう忘れてもいいよ」と言えるほど、オモニの、人々の背負ってきた歴史を、私は知らなかった。
そして、「知らなかった」で終わらせたくない。安田菜津紀 認定NPO法人Dialogue for People 副代表/フォトジャーナリスト
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済州島にはギャンブルをやりに何回も行きました。その地で大虐殺(済州四・三事件)があったことなど露知らず、脂汗を流しながらカードをめくっていた愚か者の自分に天罰あれと思いながら、この映画を観ていました。重いテーマの映画だけど、スープとカオルさんに癒されました。
末井昭 エッセイスト
彼女の作品たちは、単純に、ある個人についての映画ではありません。普通は対立すると思われる二つのカテゴリーの関係について問い続ける映画です。その目録はとても長い。個人と家族、個人と国家、韓国と北朝鮮、韓国と日本、資本主義と共産主義、島と陸、女と男、母と父、親と子、新世代と旧世代、21世紀と20世紀、感情と思想、そして何よりもスープとイデオロギー。
ヤン ヨンヒの母親、この老いた女性一人の顔を見つめながら、私たちはこれらすべてについて省察することができます。映画『スープとイデオロギー』は、ヤン ヨンヒのこれまでの作品のように、私たちがいつまでも噛み締めなければいけない思考の種を与えてくれます。ヤン ヨンヒは引き続き煮詰め搾り出し、私たちはこれからも噛み締めなければなりません。